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『Acts of Care』

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Exhibition visual design: REMOTE

■総合会期  

2025年2月22日(土)~ 4月26日(土)

 第1期:2月22日(土)~ 3月29日(土)KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

 第2期:3月22日(土)~ 4月26日(土)KANA KAWANISHI GALLERY

 第3期:4月05日(土)~ 4月26日(土)KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

■参加作家   

マイヤ・タンミヘルッタ・キイスキ

ナヤブ・イクラムサンプサ・ヴィルカヤルヴィ

■会  場

KANA KAWANISHI GALLERY 東京都江東区白河4-7-6 

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY 東京都港区西麻布2-7-5-5F

■主   催

カナカワニシアートオフィス合同会社

■協  力                

助   成

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特別協力:​ アンナ=マリア・ウィルヤネン

カナカワニシアートオフィス合同会社は、2025年2月22日(土)から2025年4月26日(土)まで、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY(西麻布)及びKANA KAWANISHI GALLERY(清澄白河)に於いて、3つの会期にまたがる展覧会『Acts of Care』を開催いたします。

本展は、カティ・キヴィネン(ヘルシンキ美術館主任学芸員)とピルッコ・シータリ(インディペンデントキュレーター/元ヘルシンキ現代美術館館長)の2名のキュレーターが、第15回光州ビエンナーレ・フィンランド館の為に企画した展覧会の日本巡回展を骨子としながら、アーティストによっては日本展のみの特別インスタレーションも実施し開催いたします。

本展を企画したキヴィネンとシータリは、「ケアとは愛情を感じる能力でもある」と指摘し、オルガ・トカルチュク(ポーランド)が2018年ノーベル文学賞授賞式で語った「優しい語り手としての作家の役割」を、次の様に引用しました:

優しさは最も控えめな愛の形である。聖典にも福音書にも出てこない、誰も誓わない、誰も引用しない愛の形だ。特別な紋章や象徴があるわけでもなく、犯罪につながるわけでもなく、嫉妬を促すわけでもない。それは、私たちが他の存在、つまり『自分自身』ではないものを注意深く見つめるとき、どこにでも現れる。

 

優しさとは、自発的で利害関係がなく、共感的な同胞感情をはるかに超えたもの。意識的なもの。いささか憂鬱ながら、運命を共有するもの。

優しさとは、他者に感情的な深い関心を持つこと。かれの脆さや、唯一無二の性質や、苦しみや時間に対する免疫の欠如などに対しても。

 

優しさとは、私たちをつなぐもの、類似性と同一性を認識すること。世界が生きていること、そこに自分が生きていること、相互につながっていること、協力し合っていること、それ自体に共依存していることを示しながら。

同様に、『Acts of Care』のアーティストたちもまた「優しい語り手」としての役割を担っています。彼らの物語を通して、共感をしたり、人生の感情的な風景を描き出すことに誘われます。その根底にあるのは、触れたり、視線を交わしたり、声のトーンや、対話など、見過ごされてしまいがちな、大切なケアのジェスチャーなのです。


(第15回光州ビエンナーレ・フィンランド館『Acts of Care』リリーステキストより抜粋)

 

フィンランドは北欧諸国で最も高齢化が進み、世界でも6番目に高齢化率が高い国ですが(2023年23.58%)、国連による世界幸福度報告書では7年連続一位(2018年以降)を獲得しています。対して日本は、もはや世界二位の高齢化率(2024年29.3%)を歩みながら、世界幸福度ランキングは常に最下位近辺(2024年51位)をさまよい、進みゆく高齢化社会で幸せを実現していく姿勢において、非常に対照的です。

 

しかし子と親が互いに思いやり、属する集団で役割を担いながら、日々を営み、命を繋げていく行為は、世界共通であるばかりかすべての生物に共通する事象でもあります。異常気象や情勢不安など、その必要性が今後ますます高まりゆく現代社会において、目前に横たわる現実と、想像力を喚起させるアートの営みは、いかに響き合うのでしょうか。

 

このたび韓国光州から東京への巡回を経て編み直されるフィンランド人アーティストら

「優しい語り手」たちの表現を、是非お見逃しなくご高覧頂けますと幸いです。

※本展示は、欧州連合(EU)の資金援助による「pARTir initiative」プロジェクト(NextGenerationEU)の一環として、 フィンランドセンターが後援しています。

Exhibition1

第1期:マイヤ・タンミ『Octomom』

■会 期  2025年2月22日(土)~ 2025年3月29日(土)

​■会 場  KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY 
      〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F |  TEL: 03-5843-9128

■開 廊  水曜日〜土曜日 13:00〜18:00 (日・月・火・祝休廊)

       ※GAIEN-NISHI ART WEEKEND 2025参加のため、3/14・3/15 のみ20:00までオープン

□制作協力 (日本版ナレーション)Yo Harding   協力:

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※本展示は、欧州連合(EU)の資金援助による「pARTir initiative」プロジェクト(NextGenerationEU)の一環として、 フィンランドセンターが後援しています。

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オープニングレセプション:2月22日(土)17:00-18:00

パフォーマンス:Charles Quevillon(スペシャルゲスト:Yo Harding

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Octomom  (detail)

2021–2023

©︎ Maija Tammi, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

第一期では、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYにて、2025年2月22日(土)よりマイヤ・タンミ個展『Octomom』を開催いたします。

マイヤ・タンミは、1985年ヘルシンキ生まれ、アールト大学(ヘルシンキ)博士課程修了。あらゆる観点から、物事の「根本的な真相」に迫るべく、科学者や他のアーティストたちと積極的にコラボレーションし、感情を揺さぶり、驚かせる作品を制作しています。弊廊での個展は2017年に開催の『白兎熱 / White Rabbit Fever 』以来8年振りになります。

本展で発表される《Octomom》は、「オーディオ・ストーリー」、「砂に投影されるプロジェクション」、「産後まもない新生児を抱く母の肖像写真」の三要素で構成されるインスタレーション作品です。科学者たちに「オクトマム」と名付けられた深海1,397メートルの母ダコは、53ヶ月間(4年7ヶ月)にも及ぶ長い期間に渡り卵を抱き続け、抱卵期間として世界最長記録となりました。

 

*  *  *

「タコとヒトの最後の共通祖先は、おそらく7億5千万年前に生息していた目玉のある虫のような生物でした。しかしその後、両者は知的な種として、まったく異なる進化を遂げます。タコは8本の腕に脳の4分の3が含まれる、唯一の生物。私たちとよく似ていながら、まるで別の惑星から来たかのようです。

《Octomom》では、タコ、人間、そして時間が交錯します。このインスタレーションは、オクトマムの映像、タコの抱卵期についてのオーディオ・ストーリー、そして生まれたばかりの子を抱くアーティストの自画像が組み合わされています。研究者がオクトマムと名付けたこのタコ(グラネレドネ・ボレオパシフィカ/ホクヨウイボダコ)は、太平洋のモントレー渓谷で53ヶ月間卵を抱き続け、世界で最も長い抱卵期間を記録しました。モントレーベイ水族館研究所のロボット潜水艇は、合計18回オクトマムのもとを訪れ、作品にはロボットが撮影した映像も含まれています。

マイヤ・タンミは近作で、私たちがどのように感情を学び、どのように感情を理解するかを探求してきました。私たちは「タコになる」ことがどのようなものかを実際に体感することはできませんが、想像を膨らませることはできます。他の種に対する感情を理解しようと試み、それを発展させることもできます。《Octomom》は、「母性の経験」を他の種の生物との共有の試みを通して、共感とは何かを私たちに問いかけるのです。」

 

(トゥルク美術館、マイヤ・タンミ個展『Octomom』リリーステキストより抜粋)

 

​*  *  *

フィンランド写真美術館の個展(2023年)で初めて発表され、トゥルク美術館での個展(2024年)、光州ビエンナーレ・フィンランド館(2024年)での展示を経て、このたび初めて国内で発表されるマイヤ・タンミのインスタレーション《Octomom》を、是非お見逃しなくご高覧ください。

“Octomom”  (installation view)

“Octomom” (installation view)

2021−2023 ©︎ Maija Tammi courtesy KANA KAWANISHI GALLERY, photo by Janne Riikonen

“Octomom”  (installation view)

“Octomom” (installation view)

2021−2023 ©︎ Maija Tammi courtesy Gwangju Biennale Foundation/KANA KAWANISHI GALLERY photo by Studio Possible Zone

“Octomom”  (installation view)

“Octomom” (installation view)

2021−2023 ©︎ Maija Tammi courtesy Gwangju Biennale Foundation/KANA KAWANISHI GALLERY photo by Studio Possible Zone

マイヤ・タンミ

1985年ヘルシンキ(フィンランド)生まれ。2017年アアルト大学(ヘルシンキ)博士課程修了。写真や映像を用い、死と不死、科学と芸術の境界領域について考察するアーティスト。科学者やミュージシャンとも定期的にコラボレーションを行なう。

タンミは、映像、写真、インスタレーションを媒体とした過激なストーリーテリングで知られる。さまざまな手法でストーリーを展開し、社会の中心的なテーマや懸念を浮き彫りにしながら、思弁的詩学(スペキュラティブ・ポエティクス)とも呼ぶべき、遊び心にあふれたアプローチを行う。

 

パリ、ベルリン、ローマ、ロンドン、ダブリン、ニューヨーク、ヘルシンキ、東京、光州など世界各都市で展示。5冊の作品集を上梓している。作品収蔵にシカゴ現代写真美術館(アメリカ)、ヘルシンキ現代美術館(ヘルシンキ、フィンランド)、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(ロンドン、イギリス)など。2025年秋にアイルランド写真美術館で個展予定。

Exhibition 2

第2期:ヘルッタ・キイスキ『Plasticenta』

■会 期  2025年3月22日(土)~ 2025年4月26日(土)
■会 場  KANA KAWANISHI GALLERY 
      〒135-0021 東京都江東区白河4-7-6 |  TEL: 03-5843-9128

■開 廊  水曜日〜土曜日 13:00〜18:00 (日・月・火・祝休廊)

       ※3月28日(金)は『坂本龍一|音を視る 時を聴く』展(東京都現代美術館)
       地域連携企画『seeing sound, hearing time Day』に参加いたします。>詳細

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※本展示は、欧州連合(EU)の資金援助による「pARTir initiative」プロジェクト(NextGenerationEU)の一環として、 フィンランドセンターが後援しています。

オープニングレセプション:3月22日(土)17:00-18:00

▼アーティストトーク

(展覧会プレイベント)

フィンランドセンターでは、本展覧会・第2期のプレイベントとして、3月21日(金)18:00-19:30、アーティストによる対面トークイベントを開催します。フィンランド人アーティストのヘルッタ・キイスキが、娘や親族のコラボレーションや、動物などの非人間的な存在とのコラボレーション制作について、あるいはテキスタイルを用いた空間インスタレーションの実践における映像や写真表現の拡張について、自身の作品やコンセプトについて語ります。

日 時:

場 所:

登壇者:

予約:

2025年3月21日(金)18:00~19:30

フィンランドセンター|〒106-8561東京都港区南麻布3-5-39

ヘルッタ・キイスキ (アーティスト)
https://artisttalk0321.peatix.com/

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Hydra (video still)

 2022 | video | 7’40” HD, 16:9, edition of 3

©Hertta Kiiski, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

『Acts of Care』第二期では、 KANA KAWANISHI GALLERYにて、2025年3月22日(土)よりヘルッタ・キイスキ個展『Plasticenta』を開催いたします。

展覧会のタイトルに冠された『Plasticenta(プラスチセンタ)』 は、ヒト胎盤からマイクロプラスチック粒子が発見されたという新たな研究から着想を得ており、胎盤から抽出されるエキスである「プラセンタ」と「プラスチック」を組み合わせた造語です。写真を用いたミクストメディア・インスタレーションで知られるキイスキの作品は、地球との複雑な関係や、他の種や環境との共存のあり方をテーマにおいています。

「Plasticenta」は地球上のあらゆる生命体が互いに調和しながら混ざり合い、既存のヒエラルキーを変容させながら、種間の新たな同盟関係を夢見る、もうひとつの未来を想像している。作品は、人間と非人間、有機物と無機物、生物と無生物の新たな親和性を描いている。

(NOON Projects(ロサンゼルス・アメリカ)『Plasticenta』展リリーステキストより抜粋)

キイスキは、10年以上に渡り2人の娘と姪と共同で作品を制作していますが、写真シリーズ〈Plasticenta〉と映像作品《Hydra》も、娘たちと共同制作でつくられました。「2人の少女の愛と友情、そして離島で発見された不死のポリプ『ヒドラ』との関係を探求する」という映像作品《Hydra》は、フィンランドのインディーシーンを代表する音楽家LAU NAUが音楽を担当し、抽象と具象のあわいで鑑賞者の想像力を喚起するかのようです。また本展では、キイスキが東京滞在中にみつけたテキスタイルを用いたサイトスペシフィックなインスタレーションも予定しています。

 

写真、映像、テキスタイルなどのインスタレーションを組み合わせ、青春や愛情や家族などの枠組に魔術的、神話的、秘教的な要素もボーダーレスに紡ぎ出すヘルッタ・キイスキの、日本初個展に是非ご期待ください。

“Roots and feet”

“Roots and feet”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Watery Eyes”

“Watery Eyes”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Friends forever”

“Friends forever”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

�“Us”

“Us”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Cloud”

“Cloud”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Dandelion and moon”

“Dandelion and moon”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Cetacean”

“Cetacean”

2022 | archival pigment print on Hahnemühle Fine Art Baryta Satin 300gsm ©Hertta Kiiski courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Plasticenta Altar”

“Plasticenta Altar”

[From left to right. Drape Psyche, Drape Entropy, Altarpiece Void, Altarpiece Intimacy, Altarpiece Love] 2022 | mixed media | dimensions variable ©Hertta Kiiski, courtesy NOON Projects

ヘルッタ・キイスキ

 

ヘルッタ・キイスキの作品は、人間と非人間的なもの、有機的なものと無機的なものとの新たな親和性を夢想し、既存のヒエラルキーを変容させる。写真、映像、テキスタイル、インスタレーションは、魔術的、神話的、秘教的な側面を持つ若さと愛の枠組みの中に存在する。若さそのもののように、キイスキの作品は白昼夢と不安の間の不安定な状態にある。彼女の作品の多くは、愛犬や娘たちとの共同作業によって生み出されている。

 

フィンランド・トゥルク在住。ヘルシンキ芸術大学で修士号(2015年)、トゥルク芸術アカデミーで写真学士号(2012年)を取得。ヘルシンキ現代美術館(フィンランド、2024年)、NOON Projects(アメリカ、2023年)、SEA Foundation(アメリカ・ネバダ州、2023年)、ハフナルボルグ美術館(アイルランド、2020年)、フィンランド写真美術館(フィンランド、2019年)など世界各国で作品を発表。ケーラー社(ドイツ)より3冊の作品集を上梓。

Exhibition 3

第3期:ナヤブ・イクラム、サンプサ・ヴィルカヤルヴィ

『Families』

■会 期  2025年4月5日(土)~ 2025年4月26日(土)
■会 場  KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
      〒106-0031 東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F |  TEL: 03-5843-9128

■開 廊  水曜日〜土曜日 13:00〜18:00 (日・月・火・祝休廊)

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※本展示は、欧州連合(EU)の資金援助による「pARTir initiative」プロジェクト(NextGenerationEU)の一環として、 フィンランドセンターが後援しています。

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▼トークイベント

 

"Gallery's Roundtable:  Living with and Caring for Families in Art"

「アート現場の座談会: 家族と共に生きること、ケアすること」

『Acts of Care』第3期、ナヤブ・イクラムとサンプサ・ヴィルカヤルヴィの二人展『Families』の開催を記念し、本展のためにフィランドから来日中のアーティスト2名と、ご両名とも実母の介護経験もおありのアートプロデューサー・ライターの髙石由美さんと住吉智恵さんをゲストにお呼びし、「アート現場の座談会:家族と共に生きること、ケアすること」と題したトークイベントを実施いたします。

高齢化率では世界2位と世界6位にある日本とフィンランドですが、幸福指数では7年連続世界1位のフィンランドと例年最下位付近をさまよう日本と、現場を取り巻く状況には大きな差があります。両国のアート現場の当時者たちによる座談会に、是非ご期待ください。

日 時:

場 所:

登壇者:

参 加:

2025年4月5日(土)16:00〜 ※トーク終了後、18:00までオープニングレセプション

KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY

ナヤブ・ノール・イクラム(アーティスト)、サンプサ・ヴィルカヤルヴィ(アーティスト)
髙石由美(アートコーディネーター、ライター)、住吉智恵(アートプロデューサー、ライター)

​入場無料/予約不要(先着20名程度着席)

■ゲスト登壇者プロフィール

髙石由美氏(アートコーディネーター、ライター)

東京生まれ。90年代、細見画廊ディレクターとして、若手アーティストの個展を中心に数多くの展覧会をプロデュース。「日経アート」、「フィガロ・ジャポン」、「ぴあ」等で記事を連載。クリストとジャンヌ=クロードのプロジェクトの翻訳・広報活動。(元)資生堂ギャラリー学芸員(元)一般社団法人 ハルモニア代表理事。「美術手帖」等のアートメディアに展覧会評等を寄稿、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団 評議員も務める。

住吉智恵氏(アートプロデューサー、ライター)

​東京生まれ。慶応義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。1990年代よりアート・ジャーナリストとして活動。2003〜2015年、オルタナティブスペースTRAUMARIS主宰を経て、現在、各所で現代美術とパフォーミングアーツの企画を手がける。2011〜2016年、横浜ダンスコレクション/コンペ2審査員。2017年より日英バイリンガルのカルチャーレビューメディア「RealTokyo」を発足、コ・ディレクターを務める。

NAYAB NOOR IKRAM_ THE FAMILY (2022), 16MM FILM STILL FROM PERFORMANCE © NAYAB NOOR IKRAM.j

The Family

(16mm film still from performance)

 2022

 ©Nayab Noor Ikram

『Acts of Care』第三期では、 KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYにて、2025年4月5日(土)よりナヤブ・イクラムと サンプサ・ヴィルカヤルヴィの二人展『Families』を開催いたします。

*  *  *

ナヤブ・ノール・イクラム(Nayab Noor Ikram)は、フィンランドを拠点に活動するビジュアル・アーティスト。オーランド諸島(6,500を超える島々からなるフィンランドの自治領/住民のほとんどはスウェーデン系)出身のパキスタンのディアスポラ(「移民」「植民」を意味する思想用語。ギリシャ語のディア(分散する)とスピロ(種をまく)を語源とする。出典:artscape)でもあります。写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションなどの作品を手がけ、儀式や象徴を通して、中間的であるということ (in-betweenship)、文化的アイデンティティ、記憶などの概念を探求しているアーティストです。

本展で発表する映像《The Family》は、アーティストとその家族によるパフォーマンスの記録です。美しく暮れゆく夕陽を背景に、母親がアーティストの髪を儀式的に洗ってゆきますが、伸びやかな声が幼少期の呼び声のような懐かしさを喚起させ、鑑賞者ひとりひとりのルーツに染み込んでゆくかのようでありながら、実は即興的であるという仕掛けによって、家族の個々に横たわる緊張感や感情や記憶をも炙り出すコミュニケーションとしても機能しており、伝統や儀式の創造や継承についても思考させられます。

*  *  *

もうひとりのアーティスト、サンプサ・ヴィルカヤルヴィ(Sampsa Virkajärvi)は、時間と変化と社会、そして個人の選択とその不可能性に興味を持つビジュアルアーティスト/ドキュメンタリー映画監督。本展では2点の映像作品を展示いたします。

“What Remains?” (video still)

“What Remains?” (video still)

2018 Video 22’32” Credit: © Sampsa Virkajärvi

“What Remains?” (video still)

“What Remains?” (video still)

2018 Video 22’32” Credit: © Sampsa Virkajärvi

《What Remains?》では、自宅で認知症を患うアーティストの実母の晩年を描き、病気が進行するにつれて時間と場所が変化していく様子を描いています。いくつもの家で同時に暮らす彼女。老いた人とその介護者が遭遇する、記憶の喪失、視覚の弱体化、理解力の低下にまつわる困難の一端を描きだすことを試みる作品でもあります。

《With You》は、かつてはパイロットとして一家を大黒柱として支えていた尊敬する実父が、最晩年にはほぼ一日を寝て過ごす様子を克明に描いており、息を引き取るその日までの父と息子の物語をまとめたノンフィクションです。育った時代も、就いた職業も、性格さえも正反対であった父に対して、時には葛藤をかかえながらも深い敬愛を抱き続けた作者である息子が語る、「あなたの生きた80年で、僕たちが一緒に過ごしたわずか18年は、短すぎました」という言葉が光ります。

*  *  *

 

すべての命には、その遺伝子を遺した親が存在します。目まぐるい日々のなか、過ぎ去った幼少期や、必ずやってくる別離の未来から目を逸らしてしまいがちな私たちですが、本展で展示するフィンランドを拠点する2人のアーティストの作品は、家族という単位の尊さや、忘れがちになってしまう過去や未来を喚起させつつ、各々の「いま」に焦点を合わせることの大切さも教えてくれるかのようです。

 

『Acts of Care』の最終会期となる本展を、是非お見逃しなくご高覧頂けましたら幸いです。

ナヤブ・ノール・イクラム

1992年オーランド諸島(フィンランド)生まれ。ノヴァ応用科学大学(ヤコブスタッド、フィンランド) で写真を専攻し、文化芸術学士号を取得。​

ナヤブ・ノール・イクラムは、フィンランドを拠点とするビジュアル・アーティスト。フィンランドの非武装自治区でありスウェーデン語圏であるオーランド諸島出身の、パキスタンのディアスポラ出身の写真家。
映像、写真、パフォーマンス、インスタレーションを手がけ、儀式や象徴を通して、中間的な感覚 (in-betweenship)、文化的アイデンティティ、記憶を扱ったコンセプトを探求している。

イクラムは、Botkyrka Konsthall(2024年、スウェーデン)、Helsinki Kunsthalle(2023年、フィンランド)、Gerðarsafn(2022年、アイスランド)、Mänttä Art Festival(2021年、フィンランド)、Västerås Art Museum(2020-2021年、スウェーデン)、European Parliament など、フィンランド国内外にて展示。ヘルシンキ美術館やオーランド美術館などに作品収蔵。

2019年にはフィンランドのスウェーデン文化財団から文化賞を、2022年にはオーランド諸島のアンナ=レナ・ドライヤー芸術基金を受賞。2024年にはフィンランド・インスティテュート・イン・ザ・UK&アイルランド×アクメ・ロンドン・レジデンス、2024年にはデンマーク・フィンランド文化会館と共同でコペンハーゲンで1週間開催されたスティナ・クルック財団のポートフォリオ・レジデンスプログラム「PortRe」を受賞。

2025年秋から2026年春にかけて、フィンランド写真美術館(ヘルシンキ)で新作を展示予定。

サンプサ・ヴィルカヤルヴィ

1970年生まれ。時間と変化と社会、そして個人の選択とその不可能性に興味を持つビジュアルアーティストでありドキュメンタリー映画監督。経済大国と技術革新の圧力のもとで生まれる体験に関心があるヴィルカヤルヴィは、文化や歴史的な事柄を扱う作品を制作している。

ヘルシンキ国際映画祭(2022年、フィンランド)、ソウル市立北ソウル美術館(SeMA、2019年、韓国)、セルラキウス美術館(2018-19年、フィンランド)、ヘルシンキ現代美術館(2008年、フィンランド)、クンストハーレ・ヘルシンキ(2001年、フィンランド)などの展覧会や映画祭に作品を発表。

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