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横山隆平 × 長谷川寛示

『Some kinda freedom』

■会  場

■会          期

■開  廊

■ 制作協力 (横山)

KANA KAWANISHI GALLERY

〒135-0021  東京都江東区白河4-7-6 

2021年3月6日(土)~ 2021年4月3日(土) ※4月10日(土)まで延長

水曜〜土曜:13:00〜19:00(日・月・火・祝 休廊)

※3月7日(日)・21日(日)は特別開廊(オープンします)

※3月17日(水)・18日(木)は臨時休廊(クローズします)

株式会社サンエムカラー

※ギャラリー前に車をお停めいただけます

■主  催     カナカワニシアートオフィス合同会社

▼本展図録 2021年3月6日(土)刊行

仕   様:250×180mm、32ページ、中綴じ

言   語:日本語、英語、中国語

印刷・製本:株式会社サンエムカラー

著   者:横山隆平、長谷川寛示

翻   訳:毛強(株式会社サンエムカラー)*和文中訳

      河西香奈(KANA KAWANISHI GALLERY)*和文英訳

発   行:KANA KAWANISHI GALLERY

WALL crack & weed #1
2021 | mixed media (Japanese cypress, gold leaf, archival pigment print on concrete) | h185 × w155 × d70 mm

© Ryuhei Yokoyama × Kanji Hasegawa, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

KANA KAWANISHI GALLERYは、2021年3月6日(土曜日)より横山隆平と長谷川寛示による二人展『Some kinda freedom』を開催いたします。

 

横山隆平は、東京を主体にモノクロフィルムによる都市写真を発表してきた写真家。2020年に発表した新シリーズ〈WALL〉では、自身のライフワークとして撮り溜めてきた数千枚にも及ぶストリートスナップからプリントしては洗いをかけ、さらにそこにプリントするという行為を繰り返し、街の壁の経年変化を表現してきました。それらの写真はさらにレイヤーに分けられ、紫外線で瞬時にインクが硬化するUVプリンターで出力されることで、幾重にもインクが立体的に盛り上がり、見る角度によって異なる表情が顕現する唯一無二のプリントとして立ち現れます。あるいは 〈WALL crack〉 シリーズでは、通常は印刷できない素材表面にも独特の質感や立体感を印刷できる技術を活用し、街で収集されたコンクリート片などの瓦礫そのものにストリートスナップを印刷し、発表してきました。

“WALL stanza (Third)”

“WALL stanza (Third)”

2020 | mixed media (archival pigment print/pigment foil on Hahnemuhle Photo Rag Baryta paper, mounted on aluminum board) | 1456 × 3090 mm (triptych) | © Ryuhei Yokoyama, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“WALL stanza” (detail)

“WALL stanza” (detail)

© Ryuhei Yokoyama, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

長谷川寛示は、「概念」を「形象」へと落とし込む制作過程でそれぞれに通じるものとして、学んできたアート表現や、親しんできたパンクロックカルチャーのみならず、仏教への興味を東京藝術大学美術学部彫刻科の在学中より募らせ、曹洞宗大本山永平寺での修行を経て、現在は僧侶とアーティストを両立させながら制作活動を行なっています。リアリズムの造形を行いながらも、モチーフの表象を介入的に組み替える長谷川は、作品制作を通し、自らの属する文化や社会に内在する観念や価値に疑問を投げかけてきました。

“HULLABALOO”

“HULLABALOO”

2020 | Japanese cypress, gold leaf, ceramic | h410 × w320 × d150 mm | © Kanji Hasegawa, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

“Flower and Vase_4”

“Flower and Vase_4”

2021 | Japanese cypress, gold leaf, ceramic | h630 × w350 × d250 mm | © Kanji Hasegawa, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

2020年秋に二人は作品を通じて出会い、偶発的な縁のつながりで本展が開催される運びとなり、今回の二人展では、個々の作品に加え、初のコラボレーション作品 〈WALL crack & weed〉 も発表いたします。

 

〈WALL crack & weed〉 で長谷川は、渋谷に自生する雑草をリサーチし、変わりゆく街並みにまどわされずに淡々と芽吹き続けるいのちに着眼します。仏具の伝統的技法である木彫に金箔と和蝋燭による煤で経年を凝縮し形象化された植物モチーフは、グラフィティのスナップショットが直に印刷されて花器に見立てられたコンクリート瓦礫片に、華道的にあしらわれることで一期一会を恒久化します。横山がライフワークとして大量に撮り溜めた渋谷のグラフィティのストリートスナップは、人々の生活の営み場の記録であると共に、スクラップ・アンド・ビルドで変わりゆく街の無常を体現するものでもあり、二人の表現が響きあった本作は、変わるもの・変わらないもの、残るもの・残らないもの等の根源的な相反をも肯定的に内包します。

WALL crack & weed #2

2021 | mixed media (Japanese cypress, gold leaf, archival pigment print on concrete) | h300 × w110 × d115 mm

© Ryuhei Yokoyama × Kanji Hasegawa, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

「ストリート」と「仏教」は、一見すると正反対の両極に位置する概念に思われるかも知れませんが、日常の生活の細部に至るまであらゆる物事をありのままに受け止め、正しくみつめることで、よりよい生き方を全うする禅的な思想は、まさにストリートと相容れる価値観と言えるでしょう。

 

偶然的な邂逅からストリートと仏教が見事な融合をみせる本展を、是非お見逃しなくご高覧ください。

アーティストステートメント

始まりはグラフィティだった。正確に云えばグラフィティの存在の在り様そのものだった。

その存在の在り方をいくつかの要素に解体し、プロセスを辿った。

様々な状態や状況、環境、メディウムを混在させるため、印刷方法と紙を作業の度に変更しながら。

そんなことを繰り返すうちに、写っているものは徐々に意味を成さなくなっていった。

アブストラクトな様相が出現し始め、意味のあることなど端から存在しないかのようだった。

手元には、ボロボロになって何が写っていたか判然としないプリントだけが残っている。

そこには崩れた文字や記号、風景の断片が匿名的に転がっているだけだ。

それでも、写真メディアという性質上、そこが何処かであり、
何かが確かに存在したという事だけは変わらないのだった。

例えばそれは、幾人もの手を渡り、繰り返し聴かれもし、擦り切れて傷つき、音飛びし、
いまやノイズしか聴こえなくなってもなお切実に音を鳴らし続ける草臥れたレコード盤みたいに。

音楽が聴けなくなってもレコード盤はレコード盤としての存在であり続けるはずだし、
そのような意味において僕の写真もやっぱり写真であることをやめることはないのだった。

僕はストリートフォトグラファーだった。僕にはそれで充分だった。

映像に或るものを拭い去る時、確からしさ、は、やがて。

 

横山隆平

自然や神、権威を表してきたように

彫刻は人々の信仰とともに作られてきた

僕の彫刻も信仰とともに作られたのかもしれない

でもそれは多くの人に声高に訴えるようなものではなく

狭い部屋の中にたたずむ小さなリアリティへ向けられている

 

長谷川寛示

Some kinda freedom ─ あるひとつの自由 ─ は写真家と彫刻家による二人展です。

 

哲学、文化、融合、生命、緊張、信仰、交流、循環、ジャンク、禅、様式、

変換、空間、音楽、違法、自然、アフェクト、多様性と混沌、アッサンブラージュ、

反復と差異、クレオール、ナラティブ、表象、未完と途上、肖像、アナログ、不服従、

反抗、希望、破壊、ラディカル、映画、文学、悲観と楽観、怒り、調和、敗北、世界、

対話、歴史、孤独、解放、刹那、精神、生活、伝統、革新、破綻、生起、無為、

 サンプリング、ノイズ、沈黙、誇り、情緒、陳腐、空白、リズム、痕跡、忘却、

虚構、静寂、流浪、構造、和声、カウンター、身体感覚、 アブストラクト、イメージ、

アイロニー、ユーモア、建築、ウィット、怠惰、経験、リアリティー、自由、反骨──。

 

作家がそれぞれ内に抱く言葉、共通コードをステートメントに代えて。


 

横山隆平・長谷川寛示

アーティストプロフィール

横山隆平(よこやま・りゅうへい)

写真家。1979年生まれ。「都市とは何か」をテーマとし、モノクロフィルムによるストリートスナップを中心に作品を展開。流動する都市の姿を、視点やアプローチを変えながら制作を行う。主な作品集に『風に転がる紙屑に書かれたような美しい、光と踊るネズミのグラフィティ史』(2018、BUFFALO PRESS)など。近年の作品にグラフィティの存在をテーマとした〈WALL〉シリーズなど。国内外で作品を発表、2019年にはパリ、中国での初展示も行われた。https://www.yokoyamaryuhei.com

長谷川寛示(はせがわ・かんじ)

1990年、三重県生まれ。2014年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、2016年同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。同年、曹洞宗大本山永平寺にて修行を経て僧侶となる。主な個展に『My Sūtra』(2019、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『ALLDAY TODAY』(2018年、Gallery HIROUMI、東京)、『RESEARCH&DESTROY』(2015年、CC4441、東京)など。グループ展に『CC NIGHT -PLAY ANARCHY-』(2015年、CC4441、東京)など。

受賞歴に「sanwacompany Art Award / Art in The House 2019」ファイナリスト選出、「前橋アートコンペライブ2012」秋元雄史賞など。 https://www.ijnak.com/

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